葬儀参列の服装と数珠のマナー:失礼のない身だしなみの完全ガイド
お通夜や葬儀に参列する際、最も気を遣うのが身だしなみです。急な知らせであっても、最低限のマナーを守ることは故人への敬意と遺族への配慮を示すことにつながります。
服装から数珠の持ち方、小物の選び方まで、自信を持って参列するためのトータルチェックリストを作成しました。
1. 【男性】参列時の服装と身だしなみ
男性の基本は、清潔感のあるブラックスーツ(礼服)です。
スーツとシャツ
ブラックスーツ: 光沢のない漆黒の礼服が基本です。ビジネス用のダークスーツは、お通夜のみであれば許容される場合もありますが、葬儀では礼服を着用しましょう。
白シャツ: 柄のない無地の白シャツを選びます。ボタンダウンカラーはカジュアルな印象を与えるため避け、レギュラーカラーやワイドカラーを選びます。
小物類
ネクタイ: 黒無地で光沢のないものを選びます。結び目にディンプル(くぼみ)を作らないのがマナーです。
靴と靴下: 黒の無地を選びます。靴は金具のないシンプルなデザインで、内羽根式のストレートチップが最も適しています。殺生を連想させる動物の型押し(ワニ革など)は厳禁です。
ベルト: 黒のシンプルなものを使用し、大きなバックルや派手な装飾は避けます。
2. 【女性】参列時の服装と身だしなみ
女性は、肌の露出を抑えた黒のアンサンブルやワンピースが基本です。
アンサンブル・ワンピース
デザイン: スカート丈は膝が隠れるもの(正座した際にも膝が出ない長さ)を選びます。襟元が詰まった、露出の少ないデザインが理想的です。
素材: 男性同様、光沢のない布地を選びます。
ストッキングと靴
ストッキング: 黒の薄手のもの(20〜30デニール程度)が基本です。厚手のタイツはカジュアルに見えるため、冬場以外は避けるのが無難です。
靴: 黒のパンプスを選びます。ヒールは3〜5cm程度で、歩くときに音が響きにくいもの、光沢のない布製や本革のシンプルなデザインが適しています。
メイクとアクセサリー
メイク: 「片化粧(かたげしょう)」と呼ばれる、控えめで清潔感のあるナチュラルメイクを心がけます。派手なアイシャドウやチーク、ツヤのあるリップは避けます。
アクセサリー: 結婚指輪以外は外すのが基本です。ネックレスを着用する場合は、一連のパール(真珠)を選びます。二連は「不幸が重なる」とされるため絶対に避けましょう。
3. 数珠(じゅず)の正しい持ち方と扱い方
数珠は、仏教の葬儀において最も大切な法具の一つです。貸し借りはせず、自分のものを持参するのがマナーです。
数珠の持ち方の基本
歩くとき: 左手の親指と人差し指の間にかけ、房(ふさ)を下に垂らして持ちます。
焼香や合掌のとき:
両手の指を揃えて合わせ、その親指と人差し指の間に数珠をかけます。
房が手のひらの側にくるように垂らします。
※宗派によって細かな使い方は異なりますが、この持ち方が一般的な共通マナーとされています。
数珠の扱いに関する注意点
椅子や机に置かない: 数珠は神聖なものです。一時的に席を外す際などは、ポケットやカバンにしまうか、袱紗の上に置くようにしましょう。
貸し借りはしない: 数珠は持ち主の厄除けや分身としての意味があるため、忘れたからといって誰かに借りるのは避けるべきです。
4. カバンとその他の持ち物
カバン
デザイン: 黒の布製が理想的です。革製の場合は、光沢がなく金具が目立たないものを選びます。
サイズ: 大きな荷物は会場に持ち込まず、クロークへ預けます。
ハンカチ
色と素材: 白または黒の無地を選びます。控えめな刺繍やレースであれば許容されますが、カラフルな柄物は避けましょう。
5. 髪型と香りのエチケット
髪型: 清潔感のあるスタイルに整えます。長い場合は、耳より下の低い位置で黒いゴムなどを使って一つにまとめます。
香り: 香水は控えるのがマナーです。また、お通夜の席での整髪料の強い香りも、周囲への配慮として避けましょう。
まとめ:落ち着いた身だしなみが最高の供養になる
葬儀の場での身だしなみは、自分の個性を出す場所ではなく、故人を偲び遺族を励ますための場であることを忘れないようにしましょう。
光沢と露出を徹底的に排除する
小物は黒の無地で統一する
数珠は左手に持ち、大切に扱う
このポイントさえ押さえておけば、どのような葬儀でも自信を持って参列できます。整った身だしなみは、あなたの弔意を無言のうちに伝え、ご遺族に安心感を与えることでしょう。
最後に、焼香の手順やタイミングについても軽く確認しておけば、当日の所作は完璧です。